遅ればせながら、「ただマイヨジョーヌのためでなく」を読みました。
西洋人らしく、必要以上に闘病の苦しみを強調することなく書かれており、
思っていたより読みやすい本でした。
そのつらい闘病生活の中、「お前がいなくなっては困る」と手助けしてくれる人々のありがたさ。
手術成功後も、たびたび襲ってくる癌再発の恐怖。レース復帰後の精神的苦悩。
人間いろいろあるものですが、若いうちの短い間にこれほどの経験をする人はそういないはず。
知ってのとおり、その後彼はツール・ド・フランスを7連覇するわけですが、
闘病で苦しみぬいた代わりに得たものは大きかったんでしょう。
脚を止めれば苦しみから逃れられるレースとは違い、寝ても醒めても苦しい毎日。
それをくぐり抜けた精神的忍耐力の限界は、常人の比ではないでしょう。
さらに、癌と徹底的に闘うため、彼はインターネットや図書館などを最大限活用し、
情報の収集につとめたそうです。このときの経験から彼は情報の重要性を認識したのでしょう。
後のレースでは、自分の心拍数やワット数などの情報を逐一管理し、
勝利を勝ち取るために活用していたという話は有名ですね。
こういう話を読むと、自分の悩みがいかにちっぽけなものかがよくわかります。
「しょーもないことで悩む暇があったら前に進め」
といった強いメッセージ性を感じました。
あと文化の違いなのでしょうが、ちょっとお金に関する感覚に
理解しづらい部分があって、そのあたりはちょっと面白かったです。
(免許が取れないほど)若いころに、カマロというスポーツカーを5000ドルで買ったとか
書いてあるんですが、中古にしても安すぎる気が・・・。
そんなにボロかったとは書いてなかったですし。
この本、ロードレースの話はどちらかというとメインではないので、
自転車に興味がない人が読んでも、面白いと思います。